架橋ポリエチレン管とポリブデン管の違いとは?特性や注意点もご紹介
2024/03/29 公開
近年、家やアパート、オフィスビル、工場などの水道の配管工事では、主にポリブデン管や架橋ポリエチレン管が使われるようになりました。 これらの管は使い勝手が良く、現場での使用が急速に広まり、今では欠かせない商品となっていますが、それぞれに特性がありますので適切に選ぶことが大切です。
今回はそんな架橋ポリエチレン管とポリブデン管の違いについて、当店ならではの目線で比較検証を行いましたので是非ご覧ください。配管の選択に少しでもお役に立てるような情報を提供します。
架橋ポリエチレン管とポリブデン管の特性
まずは架橋ポリエチレン管とポリブデン管のそれぞれの特性をご紹介します。
架橋ポリエチレン管の主な特性
架橋ポリエチレン管は、白色の見た目が特徴的な超高分子量ポリエチレンを素材としており、ポリブデン管よりも価格が高い傾向にあります。 しかしその分、材質が少し硬いことから、耐久性に優れていて、集合住宅など多くの人が暮らす場所で性能を十分に発揮できるのです。
この架橋(かきょう)とはどういうことかというと、通常のポリエチレンを考えてみてください。分子が真っ直ぐに並んでいるのが普通ですが、この分子を化学的に強く結びつけていくと、分子どうしを橋渡しするような形にして強度を増します。
このように分子のつながりを強化すると、まるで網目のように結ばれた構造となり、「架橋ポリエチレン」と呼ばれる素材ができあがるわけです。分子の強い結びつきが、材料全体の強度を高めるとともに、熱による変形にも強くなり、耐熱性(95℃)などの特性が大幅に向上させます。
ポリブデン管の主な特性
一方で、ポリブデン管とは、ポリオレフィン樹脂を素材にした管で、クリーム色に黄色味を帯びた外観をしています。
特にコストの面で架橋ポリエチレン管よりも手頃です。継手も少し安く、また、柔らかく扱いやすいため、主に戸建て住宅で使われることを見越して開発が進められています。
架橋ポリエチレン管とポリブデン管の共通点
架橋ポリエチレン管とポリブデン管の共通点を表にまとめました。
架橋ポリエチレン管 | ポリブデン管 | |
---|---|---|
軽くて可とう性がある | 架橋ポリエチレン管とポリブデン管共に軽くて扱いやすく、ワンタッチ式の継手に管を差込むだけで施工ができ、パイプカッターで切るだけで、特別な工具を使わずに手早く組み立てられるのが利点です。可とう性にも優れておりパイプが曲げやすくなっています。 | |
保温・保冷効果 | 保温・保冷効果があるので、効率的に温かさや冷たさを保つことができます。 | |
耐薬品性と絶縁性 | 酸やアルカリなどに対する耐性や、電気を通しにくい性質も持っているため、金属管のように腐食したり漏電の心配もありません。 | |
内部が滑らか | ともに内部が滑らかで水垢や湯垢などの汚れが付きにくいため清潔に保たれ衛生的です。 | |
温度範囲 | メーカーにより少しの違いはあるものの、0℃から~95℃までとなっており、ご家庭の給湯器で使う範囲内の温度であれば、問題なく使用できます。 | |
工法 | 新築の際には、さや管ヘッダー工法や先分岐工法が採用され、リフォームの際はモールを利用した工法が選ばれることが多いです。しかし、メーカーによって部品や施工の細かい手順が異なるため、施工説明書などでご確認ください。 | |
柔軟性 | 共に柔軟性があるので、地震や災害が起きても管が動き、破損しにくい特性があります。 |
この他にも長持ちするのが特徴で、一般的な水道や給湯設備では30年~40年ほどの耐久性があることが実証されています。これだけの特性があると、架橋ポリエチレン管とポリブデン管が普及しない理由が見つかりませんね。
架橋ポリエチレン管とポリブデン管の違いと注意点
架橋ポリエチレン管とポリブデン管の違いを表にまとめて比較しました。
架橋ポリエチレン管 | ポリブデン管 | |
---|---|---|
素材 | 超高分子量ポリエチレン | ポリオレフィン樹脂 |
色 | 白色 | クリーム色 |
硬さ | やや硬い | やや柔らかい |
価格帯 | やや高価 | やや安価 |
内径 | 10A:9.8mm 13A:12.8mm 16A:16.2mm 20A:20.5mm |
10A:9.8mm 13A:12.8mm 16A:16.8mm 20A:21.2mm |
外径 | 10A:13.0mm 13A:17.0mm 16A:21.5mm 20A:27.0mm |
10A:13.0mm 13A:17.0mm 16A:22.0mm 20A:27.0mm |
脆化温度 | -70℃ | -18℃ |
表のように、架橋ポリエチレン管はやや硬い性質を持っており耐久性に優れ、最高使用圧力がポリブデン管よりも高い傾向にありますが、その硬さゆえに管を曲げると形が定着しやすいという特性があります。施工する際には管の通り道をていねいに準備し、強い力を加えずに取り付けることが大切です。
一方で、ポリブデン管は、架橋ポリエチレン管に比べて少し柔らかく、扱いやすいという利点があるものの、耐久性は多少劣る面があります。この柔軟性のため、時には無理に曲げて設置されがちです。ですが、力を入れて曲げてしまうと、長期間使用しているうちに配管に亀裂が入ったり、壊れたりするリスクがあるため慎重な取り扱いが求められます。
これらの管材は取り扱いやすく施工もしやすいですが、従来の鋼管や様々な継手に比べて高価です。しかしながら、どの管材も直射日光には耐えられず、屋外での配管作業では保護カバーなどの耐候性を持つ材料を使ってしっかりと保護する必要があります。外側を覆うだけでは太陽の光から完全に守ることはできませんので、遮光する工夫も重要です。また、管の表面は傷がつきやすいため、注意深く扱わないと継手部分から水漏れを引き起こすことがあります。
架橋ポリエチレン管(JIS K 6787・6769)とポリブデン管(JIS K 6778)を使う時、水道管の太さを示す「呼び径」が10Aや13Aの時は、両者の内径と外径は同じですが、16Aや20Aとなるとサイズが異なってくるので、注意が必要です。架橋ポリエチレン用の管は専用のつなぎ部品(継手)を、ポリブデン用の管はポリブデン専用の継手を使うようにしましょう。
また、加熱されたお湯(70℃以上)が流れ続ける配管や、エコキュートのヒートポンプと温水タンクをつなぐ配管には、架橋ポリエチレン管やポリブデン管を使用しないでください。このような管材を間違って使うと水漏れを起こすおそれがあります。配管の材質については正しく理解し、慎重に取り扱うようにしましょう。
高温だけでなく、低温にどれくらい耐えられるかを示す脆化温度については架橋ポリエチレン管が-70℃までと耐久性の高さが現れています。やはり高価なだけありますね。
取り外しの際にも、メーカーによっては専用の工具を使用して行う必要があります。通常、一度接続したパイプは再利用ができないため、メーカー指定の施工方法で正しく施工することが大切です。
架橋ポリエチレン管とポリブデン管の主なメーカー
配管材料メーカーのおおよそ60~70%が架橋ポリエチレン管を取り扱っており、代表的なメーカーにはカクダイや三栄水栓(SANEI)などがあります。一方で、ポリブデン管のメーカーは全体の約30~40%で、代表的なメーカーはブリヂストンが知られています。
日本国内を全体として見ると、架橋ポリエチレン製のパイプが市場の大半を占めていますが、特に関西地方では、ブリジストンの「プッシュマスター」と呼ばれるポリブデン管が市場の約50~60%を担っているとされています。
架橋ポリエチレン管からポリブデン管への変換は可能?
ブリヂストンの「NPEH13JX13A」があれば、ひとつの継手で架橋ポリエチレン管をポリブデン管に変換できます。ユニットバス裏配管で、あらかじめ架橋ポリエチレン管がセットされている場合等にご使用いただけます。
ただし、架橋ポリエチレン管のXE種(融着用)には対応していません。
給水・給湯管は適材適所で選びましょう
いかがだったでしょうか。
架橋ポリエチレン管とポリブデン管は、それぞれが独自の特長と用途があります。それぞれの材質の使い勝手はどうか、価格に見合った効果があるのか、気をつけるべき点は何かなど、いくつかの要点を考慮に入れて、最も適したもの選び、安心で快適な水まわりを実現しましょう。
株式会社ブリヂストン 配管事業部
BRIDGESTONE 給水・排水システムについてのお問い合わせ先
BRIDGESTONE トップページ
TEL:03-5202-6864